Our story
「もう少し着丈が長ければ」
「この角度が鋭ければ」.....。
古着やヴィンテージを夢中で集めていた頃、私はいつもそんな小さな違和感を抱えていました。
大好きだこらこそ気になる、ほんのわずかな"足りなさ"。
その違和感こそが、自分で本当に着たい服をつくろうと思ったきっかけであり、2003年にMR.OLIVEを始める原点になりました。
「デザイナー」とは何でしょうか。
私にとってそれは、まったく概念のない時代に"座る"という行為を想像し、初めて椅子を生み出した人のことです。
私はそんな革新者ではありません。すでにある椅子を「もっと座りやすく」「もっと美しく」と考え続けることに魅了を感じてたからこそ、自分をデザイナーではなく「企画者」や「ディレクター」と捉えています。
現実に寄り添った"リアルクロージング"と"リアルプロダクツ"。服だけではなく、日常を共にする道具としてのプロダクツへ広がっているのも、その考え方の延長です。
ラジコンを改造して早く走らせたこと。
釣り用の毛針りを巻いて、地元の店においてもらったこと。
バイクを自分でカスタムしたこと。
子供の頃から「あるものをもっと良くする」ことに夢中でした。その視点は今も変わらず、現在のものづくりに直結しています。
「流行の服は、いつまで着れるだろう?」
私が目指すのは、一時の流行だけではありません。数年後にふと袖を通したくなり、20年後に古着屋に並んでも存在感を放ち続ける。そんな服でありたい。主張しすぎず着る人の日常を引き立て、経年変化で愛着が深まる──それがMR.OLIVEの理想です。
職人への憧れと嫉妬──。
私は"考える仕事"をしていますが、いつも職人の手仕事に心を揺さぶられます。尊敬と同時に、自分にはできないことへの羨望。
その想いがあるからこそ、素材・仕立て・シルエットの相性を大切にし、触れた時の感覚を信じ、一つひとつ丁寧に仕上げています。
職人の力を生かしたモノづくりこそ、MR.OLIVEの根幹だと考えています。
「結局、手に取ってしまうモノ」
特別な日だけではなく、気づけば日常で繰り返し袖を通してしまう服。そして同じように、毎日持ち歩き使い込むほど愛着が深まっていく日常のプロダクト。そんなワードローブや暮らしに寄り添うモノを届けたいと思っています。時が経ても愛される存在を、これからもつくり続けていきます。
長尾 亘
WITFIELD Inc.代表 / MR.OLIVEディレクター
1973年生まれ。福島県出身。
古着・ヴィンテージカルチャーに影響を受け、
2003年にMR.OLIVEを立ち上げる。
2009年より革製品ライン「MR.OLIVE E.O.I」を始動。